がくやおち ~副院長の書斎~

Profess

2025.01.30

「複雑な知識体系への精通,および熟練した技能の上に成り立つ労働を核とする職業であり,複数の科学領域の知識あるいはその修得,ないしその科学を基盤とする実務が,自分以外の他者への奉仕に用いられる天職である.そして,その構成員は,自らの力量,誠実さ,道徳利他的奉仕,および自らの関与する分野における公益増進に対して全力で貢献する意志(commitment)を公約(profess)する.この意志とその実践は,プロフェッションと社会の間の社会契約(social contract)の基礎となり,その見返りにプロフェッションに対して実務における自律性(autonomy)と自己規制(self-regulation)の特権が与えられる」(Cruess SR et al : Med J Aust 2002; 177: 208-211)

「最後にもう一つ言います。これは、われわれの仕事というのは必ずプロフェッショナルだということです。医者は人を裸にできる。医者は人に針を刺したり、人の体にメスを振るうこともできる。医者は人に対して、普通は聞いてはいけないことを聞くこともできる。なぜか…。それはプロフェッショナルだからです。プロフェッションとして相手に役立つためにやることが、社会にとって承認されているからです」(東京大学精神科名誉教授 土居健郎先生最終講義 一部抜粋)

 

いろいろな場面で迷い悩むときには、いつも上記を思い返して自分を整理します

いずれの内容も知れたことではあり、professとは高い目標だなあと毎度感じます

我々は様々な未知なる事象に遭遇しても、professionとして現在における最善の知見に基づいた医療を相手に提供し続ける責務があるのです

また医業を通じて現在と未来を繋げる力も併せて持ち合わせていないといけない、いわば人間や時間、公益へのマネジメントも行う必要があることを示唆しています

国家資格とはその国も含めた社会に各分野で還元することを見越し、個々のヒトに莫大な税金をかけて与えられたものであることは忘れてはならない

自らを律しているからこそ、責任を負うことができる

その日その日の業務だけでなく、現在の医療のベクトルをどのように昇華統合して皆に役立てゆくか、自分本位な経済的優位差などを追い求める生き方ではありません

社会に承認されるということは苦しいことも辛いことも当然経験をしなければいけません

ひとの為になることは一朝一夕のにわか仕込みにはできず、到底道のりは長いでしょう

 

我々には覚悟をもって業務にあたる使命があり、周囲も巻き込んでこその結果がでます

人間力を持とうとする日々の努力のプロセスが、公約者と認められることとなり明日への道になる

professと向き合うことによって、自分を成長させていきたいものです

 

「覚悟をもって」