がくやおち ~副院長の書斎~

悪性新生物

2024.09.30

いわゆる「がん」は上皮系と非上皮系に分類され、上皮系を「癌」、非上皮系を「肉腫」と表します

非上皮系でも血液細胞は別枠で白血病などといいます

 

良性腫瘍か悪性腫瘍かは、転移因子があるかどうかの違いです

転移とは増殖している部位から他臓器に移動・生着・増殖することで、細胞接着因子や遊走因子などに加え、腫瘍免疫細胞等からの排除を逃れないといけません

 

相手を攻撃するのは、悪性細胞自体がどのような性質(表面マーカーなど)を持っているかをきちんと知ることであり、組織学・免疫学・遺伝学・細胞分子生物学・薬理学などの、基礎医学といわれる学問をベースに、腎臓・肝臓・心臓・肺臓機能等の個別状況を見ながら標準治療を検討するわけです

 

化学療法は細胞増殖期、細胞内オルガネラなどをターゲットにして細胞死を促す薬物を体内に投与する治療です

 

免疫療法は、腫瘍の細胞表面マーカーなどを目掛けて攻撃できる抗体を投与することや、免疫細胞に働きかけて腫瘍免疫機能を高めるなどの治療となり、血液内科ではCART療法などもあります

 

放射線治療は、電離放射線を細胞増殖の強い腫瘍部に局所的に照射することで、細胞死を起こさせる治療になり、内部照射などの線源埋め込みなども可能な臓器があります

 

量子線治療も同様ではありますが、γ線とは異なる量子線を患部に照射する治療ですが、大きな施設が必要であり、どこでもできるわけではありません

 

また自らの細胞を全く取り換える治療もあり、骨髄バンクのドナー登録の恩恵を預かれる移植治療をするものもあります

 

Stage分類で進行するとⅠⅡⅢⅣと数字の大きさが上がるのですが、知見を積み重ねた治療ガイドラインで示される治療介入程度や生命予後の観点から分類されています

 

集学的に研鑽が進み・創薬に研究を重ね、確度の高い治療を選択できるようになっている反面、進行が急峻なものやde novo癌などのいきなり進行しているものは見つけにくく、進行している場合があるためにがん検診については適切なタイミングで個々の状況に応じて行う必要があります

 

手術療法のみで根治切除が出来れば1回の治療で完治状態になりますが、姑息術にならないように、できるだけ早期に見つけ排除・除去する必要があります

 

昨今のように、目に見える形でひとつ・ひとつとがんを取り除いたとしても、残存する発がんポテンシャルを全くゼロにしたわけではありません きちんと治療排除できたからこれ以上がん検診をしないのではなく、まだまだ潜んでいるあやしいものに対しても、定期スクリーニングを行うことで適切に芽を摘んでおくべきと思います

 

これまでと同様にがん検診・健診・人間ドック業務等を院内でも強化し、早めにおかしいものを指摘できるように変革をしてゆきますので、引き続きご周知をいただけたらと思います